任天堂ディスクシステムが発売されたのは、ファミコン本体の発売から3年後の1986年でした。
当時のメーカー希望小売価格は15,000円でファミコン本体とほぼ同額。
決して安くはないけど小学生でもお年玉を貯めれば何とかなる金額設定でもあり、結果的に400万台以上というセールスを記録しました。
ディスクシステムの概要
ファミコン専用の2.8インチ型ディスクドライブを搭載した当時としては大容量(110k×8bit)の両面で1MBソフトがプレイ出来るのが最大のウリでした。
当時はROMカセットが安定供給出来ない時代であり、安価で大量のソフトを生産出来て、新品で購入しても2500円前後と5000円前後のROMカセットよりも安く販売されました。
ドラクエのふっかつの呪文のように長いパスワードを入力する事なくゲームのセーブが可能になり、音声もFMステレオ音源で向上しました。
最初のソフトである1986年2月発売の『ゼルダの伝説』(任天堂)から2年ほどでほぼ役割を終えますが、最後になった1992年12月発売の『じゃんけんディスク城』(書き換え専用 徳間書店)まで6年以上も新作が発売されていました。
発売当時のキャッチフレーズは『入れれば、快感。』(意味深?)
累計生産台数は343万台、ツインファミコンも含めると約450万台。
前面のイジェクトボタンを押してディスクを出し入れします。
後面からACアダプタ及び、RAMアダプタを接続します。
本体だけでは使えずにRAMアダプタを接続して初めてディスクシステムになります。
ファミコン本体と合体させた完成形。この合体ロボのような要素も当時の子供たちに受けた一因かも知れません。
実はフロッピーじゃない!メディア
ディスクメディアはフロッピーディスクに良く似ていますが当時のパソコン、MSXに採用されていたクイックディスクという規格です。
クイックディスクは、フロッピーディスクよりもコストが安く製造できる反面、読み込みに約8秒も掛かるという弱点もありましたが、結局コストパフォーマンスを考慮して採用されました。
専用書き換え機ディスクライターで500円で新作が遊べた
町のおもちゃ屋などに設置してあったディスクシステム専用のディスクライターを利用すれば、たった500円で新作ゲームに書き換えが可能なのが大きな魅力でした。
さらに容量の少ないソフトならA面とB面に別々の2つのゲームに書き替える事が可能でした。
例えばA面にアイスクライマー、B面にプロレスなどの組み合わせができました。
中には書き換え専用ソフトなんてのもありました。これは現在のダウンロード専用ソフトと同じような位置づけです。
説明書は薄い物なら無料、厚い物なら100円で購入できました。
500円で新作ゲームが遊べるなんて子供にとっては夢のような話でした。
この話を甥っ子にするとメチャクチャうらやましがってました。
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ディスクシステム新発売のCM動画
このファミコンのディスクシステムが発売される時は本当にドキドキワクワクしましたね!
CMのナレーションは、ドクタースランプの則巻千兵衛役で人気だった内海賢二さんでした。
さらにこのCMのロングバージョンのHow toビデオ があったんですね。
そう言われてみたら店先で見たような記憶があるような?
今見てもワクワクする動画です。
フロッピーディスクが大容量ってのは今となっては笑い話ですが従来のカセットの3倍のデータ能力は大きな魅力でした。
ディスクシステムの修理
任天堂は2007年10月31日にファミコンに関するすべてのサポートサービスを終了しています。
もし故障した場合は、任天堂以外の修理してくれる業者を探すか、自分で修理するしかありません。
特に壊れやすいのがディスクドライブのベルト部分です。
読み書きを繰り返するベルト部分が磨耗し故障しやすくなります。
ファミコンネットワーク構想
まだインターネットがない時代、任天堂は普及したディスクシステムと電話回線を使ってファミコンネットワーク構想を企画していました。
任天堂の他にNTTとソフトメーカーとも協力して開発が進められ、ディスクシステムを記録装置にしてモデムを取り付けてファミコンを端末機器化しようという計画でした。
いわゆる当時のパソコン通信をファミコンでも出来るようにする画期的なものでした。
しかし、ディスクシステムの販売台数が頭打ちになった為に計画は立ち消えとなりました。
青ディスク
ディスクファックスというディスクライターに似たディスクに保存されたスコアなどのセーブデータを電話回線を介して任天堂とやりとりする装置がありました。
ゴルフJAPANコースや中山美穂のトキメキハイスクールなどのシャッターのついた青ディスクのイベントやゲーム大会データに活用されました。
任天堂側は毎日夜になると電話をかけてディスクファックスからデータを吸い出し、ランキングなどを新しいデータにして送っていたそうです。
実際に電話してメッセージを聴くゲームでは、間違い電話が昼夜を問わず殺到した家庭もあり、任天堂に怒鳴り込みに来た人もいたのだとか。
エラーが多い
フロッピーディスクなのでROMカセットよりも汚れや湿気に弱く、読み込みエラーも多かったのも特徴。
故障以外の代表的なエラーはこちら。
エラー内容 | |
---|---|
ERR.01 | ディスクカードがちゃんとセットされていない。カードを取り出し、もう1度セットしなおそう |
ERR.02 | ディスクドライブの電圧が規定値以下になっている。乾電池を新しいものと交換しよう。 |
ERR.03 | ディスクカードのツメが折れている。ほかのカードを使うか、ツメのところにテープをはる。 |
ERR.04 | 違ったメーカーのディスクカードがセットされている。カードをよく確かめよう。 |
ERR.05 | 違ったゲーム名のディスクカードがセットされている。カードのゲーム名を確かめよう。 |
ERR.06 | 違ったバージョンのディスクカードがセットされている。カードをよく確かめよう。 |
ERR.07 | ディスクカードの表と裏が逆にセットされている。 |
ERR.08 | 違った順番のディスクカードがセットされている。カードをセットする順番を確かめよう。 |
ERR.20 | 起動時の許諾画面のデータが読み取れない。 |
ERR.21~22 | ディスクカードの信号が最初から読み取る事が出来ない。 |
ERR.23~25 | ディスクカードの信号が途中から読み取る事が出来ない。 |
ERR.26 | ディスクカードに正しくセーブが出来ない。 |
ERR.27 | ディスクカードのデータに異常がある。 |
ERR.28~29 | ディスクカードの信号とコンピュータの処理速度が合わない. |
ERR.30 | ディスクカードにセーブ出来る領域がない。 |
ERR.31 | ディスクカードのデータ数が実際と合わない |
ACアダプター
ACアダプターは、発売当時に専用品が発売されましたが、ファミコン用のアダプターをもうひとつ用意すれば稼働します。
現在では、小型で軽量化した互換品で代用できます。
一体型タイプ
1986年には従来のファミコンとディスクシステムの一体型のツインファミコンが発売になりました。
意外に早かった終焉
その後、定価が2,500円程度で500円で新作に書き換え可能だった為に単価が低く利益がほとんど出ないソフトメーカーの反発によりディスクシステムは徐々に弱体化していきます。
実はサードパーティーとして初期のファミコンを支えていたナムコやハドソン等の人気ソフトメーカーがディスクシステムには不参加なのはこの理由からでした。
さらに追い打ちをかけるように、急速な半導体の発展によりクイックディスクよりも安価で大容量のROMカセットが普及するようになりました。
そうなると最大でも112キロバイトしかないクイックディスクでは太刀打ちできなくなりました。
発売した当時は、カセットの3倍の容量のディスクというのが売りでしたが、約半年ほどであっさりと逆転される事になったのは任天堂も計算外でした。
ディスクA面とB面を入れ替える際に約8秒のロード時間が掛かるのも大きな弱点でした。
そしてディスクシステムは、発売から約2年ほどでその役割が終わってしまいましたが、その存在はゲームファンに強烈なインパクトを残しました。
現在ディスクシステムのソフトをプレイするには?
ディスクシステムで発売された任天堂の代表作である、ゼルダの伝説、リンクの冒険、メトロイド、そしてコナミから発売された悪魔城ドラキュラに関しては、ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータに収録されており、まとめて遊べます。
またいくつかの人気ソフトは、3DS版やWiiU版のダウンロードされていました。
人気シリーズである場合は、探偵神宮寺三郎シリーズのようにPS版でまとめて収録されて発売されている場合もありますが、それ以外のソフトは地道に中古で探すしかありません。
ディスクシステム本体の中古価格は?
ネットショップだと5,000円前後が中古価格の相場となっています。
箱・説明書付きで状態が良くなるともう少し高くなります。
中古ショップでの価格がやや高く感じた場合は、個人取引で探してみましょう。
ヤフオクはほとんどの出品者が送料別で出品しているのに対して、メルカリではほとんどの出品者が送料込みで出品しています。
メルカリだとディスクシステム本体の中古価格は大体送料込み3,000円前後とお手頃です。
メルカリにこれから会員登録する場合は、紹介コード:ZESANQ を入力すると500円分のメルカリポイントがもらえます。
ファミコン本体を持っていない場合でも互換機をディスクシステムに接続すればプレイできる可能性はあります。
ただし、これらのハードは純正品でない為、全てのソフトの動作を保証するものではありません。
ディスクシステムの名作ソフト
アクションRPG
RPG
アドベンチャー
シミュレーション
シューティング
アクション
スポーツ
ディスクシステムの歴史まとめ
- 1985年 構想と開発スタート
- 1986年 本体発売
- 1987年 ネットワーク構想開始
- 1988年 カセット性能がディスクを追い抜く
- 1989年 販売本数が20本まで減り衰えが顕著に
- 1991年 新作ソフトの書き換え料金600円に値上げ
- 1993年 店頭のディスクライター撤去開始
- 2003年 書き換えサービスを終了
- 2007年 本体修理サポートを終了
コメント
はじめまして。最近こちらのサイトを知った者です。
当時小学生だった自ウチが始めてディスクシステム現物に触れたのは友人の誕生日に、友人が買ってもらった時でした。
ゼルダと謎村の音がとてもキレイな印象がありました。 もちろんゲームもディスクのせいか(笑)面白くて、よくその後も居座って遊んでましたw
その後ウチの兄が買いましたが、そのとき一緒に買ったソフトは「消えたプリンセス」…。
富田康子のことはこのあとよく知るようになりましたw
はじめまして。
この感動はリアルタイムでしかわかりませんよね。
消えたプリンセスってありましたね。
そのうち紹介するかも知れませんが印象がない(笑)